インターネットとは、ある同じ通信規約(プロトコル) を使って世界中のコンピュータをつなげることによってできた世界最大のコンピュ ータネットワークのことです。 この通信規約のことをTCP/IPと呼びます。
私はこのようなインターネットのイメージを抱いています。
インターネットは、学校や会社などの組織内のネットワークを互いにつなげることによってできたネットワークです。組織内のネットワークのことを、LAN(ランと読む。 Local Area Networkの略語)と言います。 このように世界中の様々なネットワークをさらに接続したネットワークのことをインターネットと呼んでいます。 その意味でインターネットは「ネットワークのネットワーク」と呼ばれることがあります。
インターネットの歴史は、約25年前アメリカの国防総省が軍事研究用ネットワークシステムとして実験を始めた ARPAnet に遡ります。
以後このネットワークに、多くの大学や研究所、政府機関が接続し(いろいろと紆余曲折はあったものの)現在に至ります。
この歴史からも分かる通り、インターネットとは決して最近できたものではありません。宇部短期大学でインターネットが使われ始めたのは1991年からです。
現在のようにインターネットが大ブームとなる2〜3年前でしたが、このように多くの人がインターネットを知るようになったきっかけは、後述の WWWというインターネット上のサービスが利用できるようになってからのことです。
年 | インターネット関連 | 宇部短大 情報計数学科 |
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1969 | ARPANETが4ノードでスタート | . |
1980 | TCP/IPが国防総省標準になる | . |
- | DDX網をNTTが運用開始 | . |
1981 | CSNETとBITNETがスタート | . |
1982 | 電子メイル(SMTP)の標準化 | . |
1983 | TCP/IPをARPANETが採用 | . |
- | telnetの仕様が発表される | . |
1984 | DNSの考えが発表される | . |
- | JUNETスタート(東工大、東大、慶応大) | . |
1985 | ftpの仕様が発表される | 教育システムとして FACOM 160Fを導入 |
- | TCP/IPがUNIXのバークレイ版に組み込まれ普及 | . |
- | JUNETがCSNETに加入 | . |
1986 | JUNETで日本語メイル使用開始し、ユーザが増加 | . |
1988 | WIDEネットワークがスタート | . |
1989 | WIDEが国際専用回線で対米接続 | . |
- | JAIN スタート | . |
1990 | WWWのプロトコルができる | . |
- | ARPANETが終了 | . |
1991 | . | 3月 学科内ネットワークで試験運用開始 |
- | . | 12月 IPアドレス取得 |
- | . | 12月 SUN4-10を教育システムとして導入 |
1992 | SINETスタート | 3月 ドメイン名(ube-c.ac.jp)取得 |
- | KARRN協会設立、サービス開始 | 4月 JAINに加入 |
- | IIJ設立(始めてのインターネットプロバイダ) | . |
- | 12月 Mosaic の開発開始 | . |
1993 | 情報ハイウエイ構想をゴア副大統領が発表 | 1月 WWWの運用を開始 |
- | . | 3月 KARRNに接続 |
1994 | . | 3月 CAI室ネットワーク接続 |
1997 | . | 3月 第3演習室ネットワーク接続 |
- | . | 6月 SINETに接続 |
インターネットは、1997年現在、次の図に示す186か国と接続されていました。しかし、現在では、もっと多くの国、いやほとんどの国に接続されていると考えられます。 これは、平成9年版の通信白書からのデータです。 皆さんは新しいデータ(現在のインターネット状況)をインターネットを 用いて探してみて下さい。 そして、以下の3年前のデータと比較してみて下さい。
接続されているホストコンピュータの数をみると、以下のようにアメリカが最も多く、次が日本、ドイツとなっています。 過去3年間の成長率を見ると、アジアで急速に広がりを見せていることがわかります。 日本でもインターネットに接続されたコンピュータ数はここ数年で急激に増加しています。
インターネットは次のような特徴を持っています。
さらに最近、インターネット利用者が激増していることから、情報の多様化とともにその量も飛躍的に多くなってきています。これらも大きな特徴です。
パソコン通信は特定の企業等が運営している一極集中型の閉じたネットワークです。 NIFTY-Serve や PC-VAN などの大手パソコン通信は、多数のアクセスポイントを持っていますが、概念的には一極集中です。
それに対して、インターネットは、このようなネットワーク同士をさらに接続したもので、概念的には分散型をしています。ネットワークの形としても異なりますが、インターネットを運営している組織があるわけではありませんので、運営面でも全く異なります。
インターネットは、人間にとってはひとつの道具です。
その道具はまだまだ未熟なところもあり、しばしば言われているような「インターネットはバラ色の世界」ばかりではありません。
ここでは2つの問題点を挙げます。
インターネットではWWWなどを使って「誰でも」「簡単に」情報発信することができます。それに起因するのが1つ目の問題点です。
例えば、現在良く話題になるのは、禁止されている「ポルノ情報」などを公開したり、特定の個人や組織の名誉を著しく侵害する情報を流すなどです。
これらは国によっては法律違反に相当する場合もあります。
シンガポール政府は一部の情報を規制する処置をとる方針を打ち出したということがニュースになっています。(1996.7.18 朝日)
一方では、我々には言論の自由・表現の自由がありますから、流される情報の内容に対する過度で不必要な干渉は望ましくありません。
特定の立場の情報は流さないという不自由さは、「ポルノ情報」以上の弊害を社会に及ぼすことになります。
この問題は今後インターネットの利用者が真剣に考え、解決していかなければならない大きな問題点の一つです。
2つ目について少し説明します。インターネット上を流れる情報は、現在、次のような意味で安全ではありません。
そのため、オンラインショッピングをする際にも、カードの番号などを入力するのは本来は危険なのです。
また、2番目の理由から、インターネット上の情報は100%信用できる、とは言えません。
これらへ対応するため、最近では暗号技術が急速に発展しています。
これは上の問題点を解消するのではなく、
ようにすることによって、情報の安全性を保つのです。
これに対しては、国家レベルで通信の検閲をしている国などでは、それが困難になるという理由で反対の声があります。
インターネットは、良くも悪くも国境をなくす強力な道具です。
これらの問題点の解決は、コンピュータの技術的側面だけではできません。
ネットワーク利用者あるいはインターネットを所有する社会の構成員全員に投げかけられている大きな問題でもあります。